早速ですが、以下の問題を考えてみましょう。
例題
2つの円 \(C_1: (x-1)^{2}+(y-2)^{2}=4 \), \(C_{2}: (x+1)^{2}+(y-1)^{2}=2 \) が異なる2点 \(P,Q\) で交わっている。2交点 \(P\), \(Q\) を通る直線の方程式を求めよ。
まず、この問題のイメージとしては、以下の図のような状況を想定しています。
青の直線 \(PQ\) の式を求めればいいわけです。
まず真っ先に思いつく解法は、
\begin{cases}
(x-1)^{2}+(y-2)^{2}=4 \\
(x+1)^{2}+(y-1)^{2}=2
\end{cases}
と連立して、どうにかこうにか \((x,y)\) を求める。
これで \(P,Q\) の座標が出るので、あとは傾きを出して \(PQ\) の式を求める…というものです。
ですが、2次方程式の連立なんて、試験本番で解きたいでしょうか??
そこで今回は、数学の本質を俯瞰することで得られる、「束(そく)」という考え方を利用することで、エレガントに2交点を通る直線の方程式を求める方法を紹介します。
直線束の考え方
2つの円の異なる2点を通る直線を、どうすばやく求めたら良いでしょうか?
まずは、2円の方程式をもう一度観察してみます。(見通しをよくするために、"=0" の形にしています)
2円の方程式
\begin{align}
(x-1)^{2}+(y-2)^{2}-4 = 0 \tag{1} \\
(x+1)^{2}+(y-1)^{2}-2 = 0 \tag{2}
\end{align}
点 P は、(1) 上にもあり (2) 上にもあるので、(1) も (2) も満たします。
ということは、P は
\[ \{ \underbrace{ (x-1)^{2}+(y-2)^{2}-4 }_{=0} \} + k \{ \underbrace{ (x+1)^{2}+(y-1)^{2}-2 }_{=0} \} = 0 \tag{3} \]
という式も満たすはずです。なぜなら、
\[ 0 + k \times 0 = 0 \]
ですから。まったく同様に Q も
\[ \{ \underbrace{ (x-1)^{2}+(y-2)^{2}-4 }_{=0} \} + k \{ \underbrace{ (x+1)^{2}+(y-1)^{2}-2 }_{=0} \} = 0 \tag{3} \]
を満たします。
これを言い換えると、
どんな実数 \(k\) に対しても、2点 P, Q は
\[ \{ \underbrace{ (x-1)^{2}+(y-2)^{2}-4 }_{=0} \} + k \{ \underbrace{ (x+1)^{2}+(y-1)^{2}-2 }_{=0} \} = 0 \]
を満たす
\(\Longleftrightarrow\)
\[ \{ \underbrace{ (x-1)^{2}+(y-2)^{2}-4 }_{=0} \} + k \{ \underbrace{ (x+1)^{2}+(y-1)^{2}-2 }_{=0} \} = 0 \]
という方程式は、2点 P, Q を通る、あらゆる図形を表すことができる
ということになります。
上の式は2点 P, Q を通る、あらゆる図形を表すのですが、基本的には \(x,y\) の2次式なので、円になります。
下の図で、点線で描かれている円が、その一つです。
しかし、唯一例外があり、
\[ \{ \underbrace{ (x-1)^{2}+(y-2)^{2}-4 }_{=0} \} + k \{ \underbrace{ (x+1)^{2}+(y-1)^{2}-2 }_{=0} \} = 0 \]
において、
\(k=-1\)
とすると、2次の項がきれいに消えて、
&\ \{ \underbrace{ (x-1)^{2}+(y-2)^{2}-4 }_{=0} \} - \{ \underbrace{ (x+1)^{2}+(y-1)^{2}-2 }_{=0} \} = 0 \\&\ \Leftrightarrow ( x^{2} - 2x + y^{2} - 4y + 1 ) - ( x^{2} + 2x + y^{2} - 2y )= 0 \\
&\ \Leftrightarrow -4x-2y + 1= 0
\end{align}
と
\[4x+2y=1\]
という直線の式が求まります。
ポイントは、
\[ \{ \underbrace{ (x-1)^{2}+(y-2)^{2}-4 }_{=0} \} + k \{ \underbrace{ (x+1)^{2}+(y-1)^{2}-2 }_{=0} \} = 0 \]
において、\( k=-1 \) とすると、\( x^{2} \), \( y^{2} \) の項が消えて \( x \), \( y \) の1次式が出て、2交点を通る直線の式が出てくるということです!
まとめ
円 \(C_{1} : (x-1)^{2}+(y-2)^{2}=4 \), \( C_{2} : (x+1)^{2}+(y-1)^{2}=2 \) の2交点を通る図形の式を求めるときは、
① \( (x-1)^{2}+(y-2)^{2}-4 = 0 \), \( (x+1)^{2}+(y-1)^{2}-2 = 0 \) の形に変形して、
②
とおく。(\(k\) は実数)
③ 2交点を通る直線の式を求めたいときは、\[ k=-1 \] とおく!その理由は、\(x,y \) の2次の項が消えて1次式になるから!
一般の円の場合
さて、上記では具体的な式が与えられている2円の場合を解説しましたが、一般的な場合でもまったく同様です。
重要
2つの円
\begin{align}
f(x,y) &= x^{2} + y^{2} + ax + by + c = 0 \tag{a} \\
g(x,y) &= x^{2} + y^{2} + px + qy + r = 0 \tag{b}
\end{align}
が異なる2つの点で交わるとき(\(a,b,c,p,q,r\) は定数)、
\[ \text{(a)} - \text{(b)} = (a-p)x + (b-q)y + (c-r) = 0 \]
は2つの交点を通る直線の式を表す。この直線を根軸(こんじく)という。
また、
\begin{align}
f(x,y) + k g(x,y) = 0 \quad k \ne 1
\end{align}
は2つの交点を通る円の方程式を表す。
なお、教科書によっては
\[ kf(x,y) + \ell g(x,y) = 0 \]
とおく。と書いてある教科書もありますが、どちらもほぼ同じことです。
練習問題
それではいくつか練習問題を解いてみましょう。
練習問題
2つの円 \( x^{2}+y^{2}-2x-4y+1=0 \), \( x^{2}+y^{2}-4=0 \) が異なる2点で交わっており、それらの交点を \(P\), \(Q\) とする。
(1) P, Q を通る直線の式を求めよ。
(2) P, Q と \((0,1)\) を通る円の方程式を求めよ。
発展問題
発展問題
2つの円 \( x^{2}+y^{2}-2x-4y+1=0 \), \( x^{2}+y^{2}-4x-2ay+9=0 \) が異なる2点で交わるときの、定数 \(a\) の値の範囲を求めよ。